コラム

卸売業が行う顧客満足度調査

相談ヒアリング

卸売業を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。流通経路の多様化、政治やウイルスリスクなどによる需要や供給の大幅な影響。そのような中で、卸売業は業界規模として全業界トップクラスを誇りながら、利益率の低さが現在の課題となっています。仕入れ価格上昇をそのまま販売価格へとは転嫁できずにいる構造的な経営課題が見られるからです。また、資源価格の動向による影響の軽減を図り、非資源事業の強化に乗り出す企業の増加も垣間見られます。

 

顧客満足度調査を継続的に行うことにより、既存取引における現況・顧客信頼度を「見える」かたちに分析し、新たな取り組みへ活用することで業績を維持・向上させている企業が複数存在しています。

 

取引先側の視点に立った顧客満足度調査を行うことで、情報分析から利益率の増加、業容拡大しているケースがあることも事実です。BtoB市場における顧客満足度の調査結果を、BtoC市場の新製品取り扱い提案に有効活用した事例をご紹介します。

 

1. 顧客満足度調査を品揃えに活かした卸売業A社の事例

(1)日用雑貨品卸売業A社を取り巻く環境

(2)顧客満足度調査から得られた情報の活用

(3)ニーズ情報を活かした新製品の取り扱い提案と顧客獲得

2. 卸売業が顧客満足度調査を行うためのポイント

1. 顧客満足度調査を品揃えに活かした卸売業A社の事例

(1)日用雑貨品卸売業A社を取り巻く環境

日用雑貨品などの一般消費財を取り扱うA社は、地域のドラッグストアやホームセンターを中心に、業務用商材をヘアサロンなどのサービス事業者に卸売りする地域密着型中小企業です。中でもヘアケア製品の品揃えに強みを持っています。

 

ただし、近年において一般消費者向けのヘアケア製品カテゴリーは、消費者ニーズの変化による売れ筋・死に筋製品の入れ替わり、それに対応するメーカー間の製品開発競争により、アイテムの新陳代謝が非常に激しく、中間流通を担うA社には在庫管理コストなどの負担が重くのしかかっていました。

(2)顧客満足度調査から得られた情報の活用

そのような中、品揃えの核となる製品はどのようなものか探り当てるため、取引先であるヘアサロンの購買担当者に対して電話と郵送によるヘアケア製品の特性をテーマとした顧客満足度調査を行いました。取引先であるヘアケアのプロの意見を集め、一般消費財マーケットの需要をいち早くつかむことで、新製品の効果的な導入と息の長いブランド育成を図ることを目的として実施しました。

 

業界のプロであるヘアサロンを対象とした顧客満足度調査からは、髪や地肌により優しく、香りが残らないタイプの製品が求められる傾向が見られ、そうした製品がサロン利用客から手堅い支持を得ていることが分かりました。

(3)ニーズ情報を活かした新製品取り扱い提案と顧客獲得

A社では、数百あるアイテムの中から皮膚に近い成分で構成され、髪や地肌により優しいと考えられる複数製品をリストアップし、独自の保湿成分を活用した製品開発を行っているメーカーの製品をメイン商材としてピックアップしました。

 

販売活動にあたってはメーカーと同行営業を行い、ヘアサロンの現場で活躍するプロの声を活かした製品であることを謳い文句として、取引先のドラッグストアやホームセンターへの提案を行いました。地道な売り場の提案活動も功を奏し、顧客からの手堅い支持を得ることにつながり、利益率も向上しました。

2. 卸売業が顧客満足度調査を行うためのポイント

前述の事例はBtoB市場の顧客満足度調査の結果をBtoC市場での新製品取り扱い提案に有効活用できた事例です。このように、機を逸することなく調査を行えれば、より信頼性の高いDATAを活用して競合他社より先んじた事業展開を進めていくことができます。

 

そのために必要なことは、しっかりとまず丁寧にヒアリングしてから調査設計を行い、顧客の求めているもの、信頼度などの情報を「見える」かたちで得ることです。既存顧客のなかに重要なヒントが隠されていることは多々あります。

 

また、卸売業は、小売業とメーカーとの間に位置する中間流通業であるということを強みとする、両者が持つ情報を収集しやすい環境にあります。広い視野で物流を見て分析するためには、顧客である小売業の他に、メーカー側の情報は重要な意味をもつでしょう。メーカーの需要を早くつかまえることで、メーカーへの販売にもつながりやすくなります。

 

そのため、アダムスコミュニケーションでは、小売業への調査だけに限らず、メーカーへの調査や消費者の需要を図る調査をMIXさせることも可能です。

 

卸売業における特性をしっかりと踏まえて調査を行うことで、迅速にかつ柔軟に経営判断を行うための材料を揃えることができます。そのようにして先手を打った対策は、多様な変化や経済の不安定さを抱える現在、必要不可欠な取り組みになりつつあるといえるでしょう。