コラム

BtoB市場で有効性を発揮する電話による使用実態調査(U&A調査)

使用実態調査(U&A調査)は、製品やサービスの購入や使用の実態を把握し、経営戦略の指標を得る際に活用されることが多い調査です。調査を通じ、製品やサービスの使用状況を様々なアプローチにより定量的・定性的に把握し、顧客の動向をより深く知ることができます。

 

BtoB市場でリサーチをする場合、機械的に一定項目を選択する形式で行うインターネット調査より、特定担当者に対して定量情報から定性情報までを深く引き出すことのできる電話調査が有効になるケースも少なからずあります。電話調査による使用実態調査の事例として、某地方自治体が行った地域産農林水産物に関する使用実態調査と飲食店用備品の卸売業者が行ったエコ箸の使用実態調査の事例を紹介します。

 

1.使用実態調査の効果

2.BtoB市場における電話による使用実態調査

(1)BtoC市場と比較したBtoBで行う使用実態調査の特性

(2)電話による使用実態調査の有効性について

3.BtoB市場における電話調査を活用した使用実態調査の事例

(1)地方自治体が行った地域産農林水産物に関する使用実態調査

(2)飲食店用備品の卸売業者が行ったエコ箸の使用実態調査

1.使用実態調査の効果

使用実態調査では、製品やサービスの使用状況を詳細に把握し、顧客の動向や経営課題などを知ることができます。顧客が製品やサービスを利用する際に得られるビッグデータでは把握できない領域・深度まで調査を進めることにより、経営戦略の再構築、新しい製品・サービスの開発などへの指標を得ることができます。調査方法としては、電話調査や訪問調査、インターネット調査、店頭調査などの方法があります。

 

2.BtoB市場における電話による使用実態調査

(1)BtoC市場と比較したBtoBで行う使用実態調査の特性

BtoCは「Business to Customer」の略で、企業と一般消費者の取引を表します。スーパーで一般消費者が日用品の買い物をする行為などがこれにあたります。消費者の生活に根ざした商材を扱うため、広告を積極的に打ち出しているのが特徴です。ターゲットが幅広く、データを極力正確に得るためには、電話調査やインターネット調査と店頭調査を組み合わせたりすることもあります。

 

一方BtoBは企業と企業が行う取引を指します。消費者ではなく、法人や事業者を対象とした商材を扱うビジネス形態です。

 

BtoB取引の市場では、BtoCの取引と比較して、広告宣伝活動を広く行うことが相対的に少ないため、実際の利用実態が掴みづらく、購買の意思決定も複雑なプロセスを経ることが特徴です。

 

(2)電話による使用実態調査の有効性について

BtoCの市場で行う使用実態調査と比較して、BtoBの市場で行う使用実態調査では、特定の担当者に対して一歩踏み込んで深く情報を引き出すことが必要となります。幅広い層に対して機械的に一定項目を選択する形式で行うインターネット調査では迅速に多量のデータを集めれるメリットもありますが、対象者であるかの確認や回答への意思決定の精度、調査質問の不備などを把握しにくい場合もあります。電話調査では、調査員による直接対応を通じたスクリーニングも可能であり、実査を通じて回答の精度、調査項目の不備などを調査員から確認し、対応の仕方を修正していくことも可能となります。

 

3.BtoB市場における電話調査を活用した使用実態調査の事例

調査から得たデータをもとに企業成長と売上アップへつなげるためには、3つの重要なポイントがあると考えられます。

(1)地方自治体が行った地域産農林水産物に関する使用実態調査

ある地方自治体では地域内の配食サービス事業者や観光事業者、学校給食、病院等の給食施設など、食事を提供する事業者に対し、地域産農林水産物の利用についての使用実態調査を行いました。調査目的は地域産農林水産物の利用拡大や食育への取り組み機会の拡大と設定されました。調査方法としては、電話による各事業所の担当者へのヒアリングが選ばれました。

 

調査の結果により、地域産農林水産物を取り扱うにあたっての課題が明確になりました。まず、生産者の減少による生産高の低下から販売価格が年々増加しているため、大量に食材として用意するには難があること。そして、地域産としての認知度はあるものの、上記理由などにより全国の安い食材を活用している事業者が多く、地域産としてのブランド価値を事業者の大半が見出せていませんでした。

 

自治体は、まず生産高が増えるように地域産農林水産物の生産者へ事業支援策を打ち出し、生産高の増加を図ることにしました。また、地域産の食材を使ったメニューをそう分かるようにメニュー名に明示して提供する事業者へ、一定期間仕入れにかかる費用の一部を自治体が負担する仕組みを作りました。人気のある飲食店や旅館などでも取り入れられたため、ニュースにもなり、地域の活性化へ貢献をすることになりました。

 

(2)飲食店用備品の卸売業者が行ったエコ箸の使用実態調査

飲食店用備品を販売する卸売業者は、エコ箸の売上額が伸び悩んでいたために使用実態調査を実施しました。最初はインターネット調査の導入も検討しましたが、対象である飲食店オーナーのなかには少なからずパソコンを所持していない高齢な方もいたため、出来る限り全顧客からの回答を集めるように電話調査を調査手法として採用しました。

 

調査結果としては、環境保護やごみ削減の観点からエコ箸を活用している飲食店が多く存在しましたが、小規模飲食店の中にはオペレーション負荷の増加や衛生面を懸念するところがあり、また、うどん店や太麺のラーメン店などでは麺がつかみづらく滑ってしまうことが不評で、エコ箸から割り箸に戻っているお店も存在しました。

 

卸売業者は、取り扱っているエコ箸のメーカーと相談し、箸の先端部分の形状や素材をよりつかみやすいものへと改良し、エコ箸を採用している全顧客へサンプル提供をしました。通常販売価格としては既存のものよりは値上げをしましたが、導入キャンペーンとして割安になる期間を設定しました。また、割り箸を使用している顧客へはニーズを踏まえてエコ箸ではなく元々採用していた海外産のものから国内産に切り替えることにより環境破壊ではなく逆に環境保護(森林整備への寄与)となることをアピールし、国内産割り箸のサンプルを提供しました。その後は、着々と売上への貢献を果たすことになりました。

 

この卸売業者は、調査を通じて顧客の実情をしっかりと把握したことで新たな目線での営業チャンスを得ることになりました。定量データだけではなく定性データも取得し、分析から次の戦略に活かしたことで、縮小していくサイクルを再活性化することが可能となりました。

 

2つの事例に見られるように、電話による使用実態調査では企業における使用シーンや購買ニーズ、意思決定プロセスの確認など、キーとなる情報に幅広く、また対人での回答により精度も維持した状態でリーチできる可能性が高くなると考えられます。