コラム

「ニューノーマル」時代に求められる価格調査とその手法

電話オペレーター

コロナ禍により、消費者や企業は新しい生活や労働の仕方を求められるようになり、そのなかで価値観の変化も自ずともたらされています。そして、短期に終わらず長期的なものとなっているこの新しい生活様式のなかで、如何に企業は顧客の購買意欲を引き出せるかという課題に直面しています。商品の販売力を維持するためには様々な側面からアプローチをする必要がありますが、商品の価格設定というのは非常に大きな要素といえます。

 

価格設定をする際に役立つ調査の方法としてはPSM分析と呼ばれるものがあります。「高いと思い始める価格」「安いと思い始める価格」「高すぎて買えないと思う価格」「安すぎて不安に思う価格」の回答を集め、それぞれの累積度数分布の交わりから上限価格、妥協価格、最適価格、下限価格を求めます。そのように顧客の生の声から商品やサービスの受容価格帯等を得ることができるため、感覚的なものに依らず、信頼できる情報を元に価格設定を行うことができます。

 

では、上記のような調査手法を活用する際に、電話調査はどのように活用されるでしょうか。

1.主な調査手法ごとにみるアプローチの仕方

例えば、インターネット調査による価格調査では、モニター層にクローズドでアプローチする手法が一般的です。調査会社によっては大きな母数をモニターとして確保しているため、その商品に興味関心の高い対象者へスクリーニングすることが可能であり、回答を年代や性別の割付に合わせて確保しやすいメリットがあります。インターネット環境にない対象者(パソコンやタブレットはなく、スマホも持っていない)からは回答を得ることが難しいなどはありますが、大量に回答を集めたいときにはコストパフォーマンスがとても高い調査手法になります。

 

他には、CLT(会場調査)やインタビュー調査、郵送調査、訪問調査などで、顧客層となる対象者へ実際に商品を体験してもらうことで、その体験をもとに価格に関する意見を提供してもらう調査手法があります。こちらは実際に商品を体験してもらいながら意見を集めるため、より有効な回答を得やすく、得られる自由回答も質が高いものになります。また、回答者は調査への協力に一定時間の確保をした上で臨むため、しっかりと考えた上での回答を得やすいメリットがあります。CLT(会場調査)やインタビュー調査では会場に集まってもらい、限られた人数に設定して行うため、特定の地域についての調査ではなく全国を対象とする場合や回答数を多く得たい場合には複数回行わなければならず、規模が大きくなればコストとしても大きく膨らみます。現在はオンラインツールを活用した調査手法も導入されるようになり、オンラインインタビューの活用により全国の対象者から回答を得やすくなるなど、調査手法としての変化も近年では見られます。

 

2.電話による価格調査へのアプローチの仕方

電話調査という手法のメリットとしては、全国から無作為に抽出をして行うことが可能なために地域性やその商品への意向、インターネット環境などの要因を排除して回答を集めたいときに適しています。固定電話の所持率が低下傾向にあることから一時的に調査手法としての限界を唱える記事も出てきましたが、近年では携帯電話番号のRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)を固定電話と組み合わせて行うなど対象者への到達率も決して低くはありません。郵送調査、訪問調査に比べれば低いコストで、経験豊富な調査員により、多くの回答を集めることが可能です。

 

対象者自身が記入する場合は誤った認識の元で進めてしまっても気づきにくい場合がありますが、電話調査では調査員による再読み上げなどの対応で誤認識を修正できるケースもしばしばあります。

 

また、インターネット、郵送などによる調査では、モニターではなく無作為抽出等による場合だと、回答率を上げるために未回答の対象者へ電話による接触を調査へ組み込むこともあります。回答そのものを得るのではなく回答のお願いを行う電話督促や、未回答者からは電話で回答を取得するやり方、または回答依頼から始まり、反応次第では回答をそのまま取得するやり方もあります。

 

このように、電話調査という手法はひとつの独立した手法としてだけに限らず、他の調査手法を補完して行う機会も決して少なくはありません。価格調査を行う場合には、対象が消費者である場合もあれば、企業となる場合もあります。特に企業の場合は、電話調査という手法の活用により回答率を上げることは非常に有効な手段となり得ています。コロナ禍が長引く中で、価値観にも変化がもたらされ、企業と顧客の間で商品やサービスへの受容価格帯として捉える幅にズレが生じていてもおかしくはありません。そのズレにいち早く気づき、先手を打ったアクションへつなげるためにも価格調査を行うことは重要でしょう。その際に、調査の方法にも再度目を向け、どういう対象から回答を集めたいのか、そしてその対象から集めるには、どのような方法が適切でコストバランスも良いのかを吟味してみてはいかがでしょうか。

アダムスコミュニケーションでは、お客様のご要望に応じた各種調査メニューをご用意しています。詳細は調査メニューでご確認ください。