コラム
ソフトウェア開発業が調査を行う上での留意点
2021年4月1日、日本銀行調査統計局により発表された短観によると、全産業でソフトウェアへの投資額は、昨年に比べ上回るとされています。新型コロナウイルス感染症の猛威は昨年より衰えを知らず大きく振るう中、テレワーク環境は各企業で整備が進み、セキュリティ対策やWEB会議システム、グループウェア、営業促進ツールなどのソフトウェアの普及率は上昇傾向にあります。また、各企業による運用中心となるパッケージ型のものに比べSaaS(Software as a Service)型ソフトウェアの国内市場における占有率も増え、特に企業支援ソフトウェア開発業にとって大きなターニングポイントを迎えています。
このようなBtoBを主としたソフトウェア開発を行う企業にとって、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける企業のサポートをより深いところで機を逃さずに行うためには、各企業の受ける環境変化を理解することが重要となります。逆に、現状を軽視してしまえば他のソフトウェアへの移行が進み、売上の落ち込みにつながることも十分に考えられます。では、どのようにして顧客へアプローチし、理解を深めていくことができるでしょうか。
1.調査の目的
企業支援ツールを開発する企業にとって調査対象は、顧客となる企業になりますが、知るべきことは何でしょうか。よく調査として考えられるのは自社ソフトウェアについての利用実態調査となります。その調査を通じて知ることができるのはソフトウェアに対する満足度や課題など、知る対象は顧客ではなく顧客を通じた自社製品となります。通常の状態であればこのような調査手法は大いに役立つものとなります。
しかし、現況下において、いま各企業は労働環境や業務ツールの様々な変化に対応している最中となり、その際に生じている課題にこそサポートを拡大していく機会があります。この機会を把握し、戦略へつなげるために調査を設計することが必要となります。
2.調査手法の選択
顧客の環境変化について知るにはインターネット調査、郵送調査、電話調査など、定量調査を行うことが一番効率的に把握を図れるでしょう。しかし、顧客のより深い課題を把握するためには定性的な手法を行わなければ把握することはできません。
そのため、調査のなかで定量調査・定性調査をセットで行うことが一つの選択の仕方になります。テレワークの普及にともないWEB会議システムの導入も進んだため、そちらを活用した定性調査も広く行われるようになりました。しかし、BtoBであれば元々の調査対象リスト自体に限界があり回収数が希望通りには集められない場合や、調査を行うための環境や時間拘束などのハードルの高さにより定性調査を行うのが難しい場合もあります。
電話調査の場合は、確実に担当者まで到達したかを確認でき、定量・定性の両方の回答を得ることが可能となります。しかし、深いところまで掘り下げることは誰しもが可能なわけではありません。長年の調査経験を有している調査員のいる調査会社へ依頼することをおすすめします。
また、電話調査では急遽回答者の都合が悪くなった場合でも柔軟にスケジュールの組み直しをすることが可能であり、スピーディーに行えます。
3.報告書をゴールとしない
調査を完了し、調査会社から報告書を受け取ってもそれは言うならばゴールにたどり着くための地図を得るようなものです。やみくもに進むよりは効率的に進むことが可能になったのであり、ゴールにたどり着いたわけではありません。調査の完了をゴールと見誤り、足踏みしてしまえば、それは調査自体を無駄にしてしまい、ソフトウェア開発へも決してつながることはできないでしょう。
そのように考えると、地図(報告書)も決して受け身ではなく、能動的に調査の主体者側が細かく設計に関わることが重要であることもわかってきます。作る側ではなく、読み取る側がわかりやすく、活用しやすいものであることが重要となります。
そして、その地図を企業戦略の道筋を作成する上で活用すること自体が一番欠かせないことだといえるでしょう。
アダムスコミュニケーションでは、お客様のご要望に応じた各種調査メニューをご用意しています。詳細は調査メニューでご確認ください。